"自分を幸せにする力"を育む 森のようちえん

ノーフュンスの生徒に自転車を貸してもらい、草原を漕ぎぬけて着いたのは、

Gårdbørnehaven Spirevippen(がー…読み方わからない)

地元の母たちが、自分の子供たちのために理想の幼稚園を、とタッグを組んで設立された園で、今でも毎年5名の保護者が経営メンバーとして選出され、どのように幼稚園を作っていくのか議論しているという。


今回案内してくださったのは、園長先生であるViviさん。

「幼稚園の目的は?」と聞いたところ、少し考えてまっすぐな目で ”To live a own life”と。

まさに、そのための仕掛けが詰まっている場所で。ここで働かせてください!と、

もう少しで千と千尋になるところでした。

大好きになりすぎて、最後「アイラブユーーー」と連発する厄介な日本人


門をくぐると目に入ってくるのは、ひたすらに広い原っぱ。というより草原。

ブランコ・砂場・小さい丘など、ふつうの幼稚園にあるような遊具と、

にわとり・ぶた・ひつじ・うさぎなど沢山の動物。

草をかき分けると「これはかぼちゃ」「これはトマト」と小さい農園が。


自分で選ぶこと、自分で決めることを大事にしているこの幼稚園では、

決まったお遊戯や工作の時間は、ほとんどない。

子供たちで何して遊ぶかを決めて、自分たちで遊び場をつくり、

動物たちに餌をあげるのか、農園から野菜を取って食べるのかも自分たちで決める。

育てた豚を食べるのかどうかもみんなで決める。


だからこそ事件も失敗も沢山起きる。

そこらへんに落ちている木の実を拾って食べても注意はしない。うげーーってやっているところに、”How can I help you?”と声をかけるのが先生の役割。

そうやって自分で失敗をして、自分で学んでいく。


悲しい、怒っている、嬉しい、うらやましい。

泣いてもいいんだよ、と、感情をあるがままに受け入れることも先生の役割。

親と離れて悲しいと泣く子に、悲しいね、ととことん付き合う。

感情との付き合い方を一緒に考える。そうすると、他の子に対しても、empathyが持てるようになる。


「先生たち同志のかかわり方で大事にしていることも、全く同じよ」とVivi先生は言う。

失敗はするから受け入れる、感情を押し殺さないで放出してもらう、

それぞれが園や園児とどうかかわるかを決める。

「あーーーなんてすてきなんだろう!」と叫びたくなる、

素敵が沢山ぎゅっと詰まった森の幼稚園でした。


制限ではなく、可能性で支援をするということ

ほくほくした気持ちでノーフュンスホイスコーレに戻り、

「ホイスコーレを日本に広めたい」という山本勇輝さんにお話を伺いつつ思考の整理。

(ありのままで、優しく、強く。深い海のような、とっても素敵な方でした。)


森の幼稚園も、フォルケホイスコーレも、経営者も法人も全く別ですが、

不思議と、脈々と流れている「大事にしたいこと」には同じものを感じました。

「その人がその人らしく生きるためのお手伝い」を大事にしている国だ、と。


制限をすることで団体行動や規律は守れるし、ある一定度の成果は、出すことができる。

なんてったって、縛る側がラクチン。

難しいかもしれないけれども、その人らしさを尊重するために、

目の前の子どもや高齢者が何を感じていて、何を求めていて、

今ある制約条件の中で、どうやったら実現できるのだろうか?


先生も、介護士も。私のような人事というお仕事も。

人に関わりながら仕事をするうえで、大事なことを教わったように思えました。

素敵だなあという、じいんとした気持ちと、

これが難しいんだよなあ、というざわざわという気持ちと。

「さあ、どうやったら、できる?」

自分にも問いかけてみようと思います。

こんぱすにっき

教育女子ふたりの、旅と日々の記録。 日本も世界も。足を運んで、目で見たこと、感じたこと、対話したことを残していきます。

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